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Banana Recipes

漫画 BANANA FISH の2次創作ブログです。 BANANA FISH 好きの皆様と仲良くしていただければ嬉しいです♪一部BL・R18あります。ご注意を。

※この小説は再再録です。無修正。後書きも無修正でごめんなさいm(_ _)m
「Happy Halloween  パンプキン!パンプキン!」の続きになります。未読の方はそちらをお読みになってからこちらを読んだほうが楽しめるかもしれません。
英二のやさしさでかぼちゃを避けたハロウィンパーティーが59丁目で開かれています。それに遅れてやってきた、うちのブログの中では一番残念なキャラクターアレックス。それでは、どうぞー。





なんなんだ。一体!


俺ーアレックスーは、ボーンズ、コングと一緒に部屋を飛び出した。
飛び出してきた部屋はアッシュが現在住んでいる高級アパートメントの一室だ。
その日の俺は数々の誘いを断ってそのアパートメントにやってきたのに。
『今日はボスの所に呼ばれてるから。悪ぃな。』
俺を呼んだのはアッシュではなく本当は英二だ。
だが、人の誘いを断るのに「ボスに呼ばれている」これ以上の言い訳はない。
ダウンタウンのたまり場で誘う仲間や女達をかわしてここへ来た。アッシュの棲家は一部の仲間以外には知らせていない。そこに俺が行くと知ると女達の目の色が変わった。
『アッシュのところに行くの?ハロウィンパーティ?じゃぁ・・・。』
なんとかアッシュに取り入ろうとする女共が俺について来たがる。それを断るとみやげをもたせようとした。
『私からって絶対言ってね。』

言ったってアッシュは女の名前なんか覚えちゃいねぇ。

だが誘い文句を断る俺に女共は色々持たせたがった。ハロウィンの夜に俺を誘ったくせに、アッシュの名前を出すと途端に態度を変えんのかよ。と思っているうちに荷物がどんどん膨らんでいく。



俺はアッシュのアパートに遅れて到着した。
先に始まっていたパーティは、酒も進んでおり、それぞれがいい感じに出来上がっている。くだらない話で盛り上がっているようだ。アッシュもビールを口にしながらかなり機嫌がいいようにみえる。
見ればテーブルの上のご馳走は既にほとんどがなくなっていた。

よぉし。ここで俺様の出番だぜ。

皆の前で大きな紙袋から女達にもらった料理を一つづつ取り出してリビングのテーブルの上に置いていった。
もらった食い物(そのほとんどがパンプキンなんとかだ)の名前と俺にもたせた女の名前を律儀にも挙げながらー。
「これはキャシーからのパンプキンプディング!これはマーサからのパンプキンクッキー!・・・。」
食い物が次から次へと並べられ、いちいち喜ぶコング。微妙な顔つきになる英二。そしてボーンズはあたふたとジェスチャーで俺になにか訴えてるようだった。
黙り込んだボスの頬が徐々に引き攣っていくのに俺は気づかなかった。

最後の一つの料理。
ーそれは正真正銘”俺の彼女”からもらったやつだ。俺は彼女を信じている。愛してるぜ、ナンシー!ー
ハロウィンのカボチャの飾りも豪勢なパンプキンパイと俺のハニーの名前を一際高い声で紹介してテーブルに置こうとしたその時・・。

ボスが低い声で何かを呟いた。

「え?」
俺は聞き返した。
アッシュの怒号が部屋中に響き渡る。

「お前らそれ持って出ていけーーー!」

そして俺たち3人は慌ててアッシュの部屋を飛び出した。何も持たずに。
俺はどうしてボスの機嫌を損ねてしまったのかわからなかった。

アパートの外に出て少し落ち着いた俺にボーンズが声をかけてきた。
「あーあ。アレックス。ボスはかぼちゃが嫌いだんだぜ?」

先に言えよ・・。

だが俺はその言葉を言えなかった。クシャミがでたのだ。上着を部屋に置いたまま飛び出してしまった。秋の夜のマンハッタンは上着なしではもう寒い。両腕を手でさする。
「Bless you.」
2人からお決まりの言葉がかけられる。
だがその言い方は投げやりだ。酒と暖かい食事のある部屋を追い出されることになった原因である俺に冷たい視線が投げられる。俺だって愛しのハニーの手作りパンプキンパイを食べ損ねたんだぜ!とはとても言えない雰囲気だ。
しかたない。こいつらに一杯おごってやるか。

「待って!」
その時声がかけられた。英二だ。慌てて走ってきたのか少し息が上がっている。
「君たち戻ってきなよ。」
俺たちは盛大に首を横に振った。
機嫌の悪ぃアッシュの相手なんてできない。

英二はため息をついて手に持っていたものを差し出した。
俺達が部屋に置いてきてしまったそれぞれの上着と・・。
それは俺が持ってきた紙袋だった。
「これ。君の彼女からだろ?」
中には俺の彼女からもらったパンプキンパイが入っていた。俺の表情が途端に笑顔になったのが自分でもわかる。

「いいのか?よく覚えてたな!」

俺の彼女の名前を。

以前俺と彼女の壮大なラブストーリーを1時間くらいかけて聞かせてやったのを覚えていたんだろう。
まぁね。前に名前を聞いたからね。と英二が引きつった笑みを浮かべているのは気のせいか。
「本当に君たちもどってこないの?」
俺達は丁重に断った。
今日はもういいから明日のリンクスの集まりまでにアッシュの機嫌を取っておいてくれ。と。
「まったく。本当だね。アッシュにはよく言っておくよ。かぼちゃくらいで不機嫌になるなってね!」

やめてくれー。

俺はそう思った。ボーンズとコングもそう思ってるはずだ。
英二は本当にいいやつだが、天然だ。ボスの機嫌も考えずにボスに意見する。
最たるものは寝ているボスを恐れずに頭をたたいて起こすことだ。
ボスは英二には何も文句を言わないが、不機嫌を隠さず俺達にあたるんだ。勘弁してくれ。
だが目の前の英二は本当に俺たちのためにアッシュに意見しなければと憤慨しているようだ。こいつは本当にいいやつだ。だが・・

『かぼちゃくらいで不機嫌になるな』

そんな空気を読めない事を言えるのは英二だけだろう。
その言葉を受けてコングが英二に言葉を返した。
「まったくだな。よろしく頼むぜ英二。」

お前もかーー!

怖いもの知らずのこいつらの会話を聞いているとおかしくなる。ボスの機嫌の良し悪しで明日のリンクスの被害状況が決まるのだ。いや。一番の被害を被るのはナンバー2であるこの俺だ。ここは一つ英二にキチンと言っておかねば。俺の横でボーンズがチラリと俺をみた。期待しているのか。俺が英二にガツンと言うことを。これ以上ボスの機嫌を悪くしないでくれと英二に言うことを。よし。俺は言ってやるぜ!

「英二。あのな・・」
「何?」
背の低い英二が俺を見上げた。
その目は俺が知っているアジア人の中では大きくアーモンド型の黒い目をしている。街頭の明かりに少し反射したその瞳は俺に懐いていた犬を思い起こさせた。
何かを期待して俺を見上げる子犬。

「・・・明日の会合は昼前だ。ボスを遅れさせないでくれ」
「任せて!」
英二が満面の笑みで得意気に答えた。
ボーンズが上を向きため息を吐いた。
コングは、さすが英二だな!とズレた事を言っている。
「・・・行くぞ」

なんか疲れた。

俺達はじゃぁなと言ってその場を去った。
英二はアパートに帰ったようだ。
「へっくしょん!」
俺はまたくしゃみをした。
深夜の冷え込みが体に染みる。でも俺には彼女からもらったパンプキンパイがある。
帰ってから一人で食うか・・。

来年は誰に誘われても絶対彼女と2人でパーティーだ。

俺は来年の事を思い浮かべながら、ボーンズ達と別れて家路についたのだった。



<おしまい。>




最後まで読んでくださってありがとうございます^^。
まとまりがなくてすみませんでした。
アレックスが持ってきたパンプキン料理なのになんで残りの2人も追い出されるのかという事は華麗にスルーしてください(笑)
それでは本当にありがとうございました~。

ここから再録後書き。
やっぱり最後まで読んでくださってありがとうございます!
この話があって、バレンタインのアレックスの話があるんですが、まぁ、全然対した伏線でもないのでバレンタインの話も単品で確実に読めます。この話は、アレックス、彼女とラブラブの頃(笑)
私の話は今の所、時系列でなんとなーく一本の同じ流れで進んでいるようです。(アップするのは時代を前後してますが)そんなにちゃんとしたこと考えてないし、適当にやってるのですが、なんとなくあっちに使った話の伏線をこっちにも使って書いてたりします。んー。使いまわしてるとか言いますかね?(笑)
再録リクエストありがとうございました。初読の方も再読(いれば)の方も楽しんでいただけましたでしょうか?
この話もいつかは表にリンクしますが、それまではこちらでコッソリお楽しみください。
それでは本当にありがとうございました~。

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2013.03.14 12:31 | # [ 編集 ]

>ちょこぱんだ様!
うれしいコメントありがとうございました!
返コメ無駄に長くなっちゃったので、返信コーナーにコッソリ返信。
(以下2013/3/15に返信しました)ってところ読んでやってください~^^。

2013.03.15 20:26 URL | 小葉 #jneLG44g [ 編集 ]

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