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Banana Recipes

漫画 BANANA FISH の2次創作ブログです。 BANANA FISH 好きの皆様と仲良くしていただければ嬉しいです♪一部BL・R18あります。ご注意を。

ショーターが空を見上げてこう言った。
「いい天気だな!英二!」
「・・・そうだね。」
英二は時々ショーターのテンションについて行けない事があった。
「こういうのを日本の格言で”女心と秋の空”っていうんだろ?どっちもオレの心の闇を晴らしてくれる・・。」
何か色々誤解しているショーターに説明をしようと口を開いた英二をアッシュが止める。
「英二。いいから放っておけ。」
「そうだ!遠足にいかねぇか?オレは聞いたことがある。日本では秋になると”栗狩り”ってのがあるって」
「栗拾いのことだね。」
「明日みんなで行こうぜ。案内は英二がしてくれ。おれは昼飯を用意する。集合時間は朝の9時だ!おやつは一人500円まで、バナナはおやつのうちには入りません!お前ら遅れるなよ。じゃーなー。」
言いたいことだけ言って風のように去っていったショーターに英二は唖然とした。
「君・・行くの?」
「あいつ、無視すると後からうるせーんだよ。」
「君が行くなら僕も行こうかな。」
「メシはお前が作って来い。」
「え。でもショーターが用意するって・・」
「お前が作れ。」
まったく。誰も彼も勝手なんだから・・。英二はため息をついた。

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「おお!山がオレを呼んでるぜ!オレはどうして山に登るのか?そこに山があるからだ!」
「まだテンション下がってないね・・」
そのショーターを見るとすごくたくさんの荷物を担いでいた。バーベキューセットか・・。
そんなに高くない栗山とはいえそんな荷物を持って登れるのか?
と英二が思っていると、ショーターの影からひょっこり小さい人影が現れた。シンだ。
みれば小柄なシンのリュックからはみ出ているのはネギ・・・と中華鍋?
「君もショーターを止められなかったの?」
「お前。大変なボスを持ったな。」
アッシュがニヤニヤ笑いながらシンをからかう。
「・・・・・・。」
シンは黙ったままだった。

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栗拾いの現場まで来た皆は荷物を下ろした。
「日本では山に入る時こういうのを持って行くんだぜ?(byアニメ日本昔話)」
どこからともなく竹かごを持ち出してショーターはそれを背負っていた。
もちろんシンも背負わされてる。
「・・・・・。」
全てを諦めたようにその肩は落ちていた。
「なんだかシンがかわいそうだね。」
「何事も人生経験だ。」
アッシュは確実におもしろがっていた。

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ひとつずつ栗を拾うのに飽きたのか、ショーターが木に登ってめぼしい栗を手に取り、地面に置いた籠に投げ入れ始めた。
その一つが的をはずれアッシュに当たる。
「・・・ってーな。どこ見て投げてんだよ。このノーコン・ハゲ!」
「ノーコンはともかくハゲってなんだ!伸ばしてるって言ってんだろ!」
「伸びてんの見たことねーんだよ!何年かかって何ミクロン伸ばしてんだよ!ハゲ!」
「まー!言ったわねー。ショーターのイガイガ攻撃を受けてみよ!」
といって栗の木をゆすってイガイガのついた栗を一斉に落としはじめた。
「・・痛っ。イタタっ。ちょっ。お前汚ねーぞ!」
「ばぁ~か。常に危険に備えておかねぇと生き残れねぇって事を教えてやってんだよ!」
「クソ!」
アッシュは置かれてあった竹かごを盾にして自分の身を守り、落ちた栗をショーターに投げつけ応戦し始める。
「シン。あっちへ行こうか・・・。」
「・・・・・・。」
残された英二とシンは2人から離れて他人のフリをした。

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「お前ら腹減っただろ?!ここはこの張大飯店期待の跡取り息子!ショーター様が得意の中華で昼飯を振舞って進ぜよう!」

「「「・・・・・・・・・」」」

3人は無言で事の成り行きを見守った。
「シン!火を起こせ!」
呼ばれたシンが慌ててバーベキューセットに近づいて火を付ける。
ショーターはその上に大きな中華鍋を置き、大めの油を注いで切った食材を投げ入れていく。
英二とアッシュがそれを見ながら呟いた。
「男前な料理だよね・・」
ほぼ皮をむいてない野菜や、ざく切りにも程がある肉、
「俺は料理はよくわからないが、セロリはあーゆー所にいれるもんなのか?」
他にも『秋の味覚のきのこ~』とショーターは叫びながら、缶詰のマッシュルームや水に戻してない干ししいたけ等、鍋に放り込みどんどん炒めていく。
「俺。ちょっとトイレに・・」
「逃げないで。アッシュ。君の親友だろ?」
英二がアッシュの後ろ襟を掴んで止めた。
「そして最後には、今回のテーマの~~。」
ショーターの手にあるのは栗だった。しかも剥いていない。
「わ!ショーターそれは止めて!」
「?」
ショーターは英二の静止も聞かずにたくさんの栗を投げ入れた。
火力がMAXで炒められていたその鍋の中で栗が割れてはじけ始める。
「わ!熱!・・・熱い・・痛!こいつらはじけて飛んできやがる!シン!なんとかしろ!」
シンも慌てて火を消そうとするが、栗がはじけてなかなか近づけない。
アッシュが英二を抱えて被害が及ばないところまで逃げた。


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とりあえず、栗が飛ばないところまで来てほっとした英二にアッシュが声をかけた。
「こっち来いよ。」
「?」
アッシュが英二の腕をつかんでどんどんその場を離れていく。
少し坂を降りていくと小川が見えた。さっきの(ショーターだけが)にぎやかな場所と違って小川のせせらぎ、小鳥の鳴き声、そして錦に染まった紅葉が見事な場所だった。
「君。いつの間にこんなところを見つけたんだい?」
ふふん。とアッシュは笑った。
「飯食おうぜ。弁当あるんだろ?」
見ればアッシュは英二のリュックを手に持っていた。
「ちゃっかりしてるね・・。」
手渡されたリュックから英二は弁当を出し、その場で広げはじめる。
「みんなの分もあるんだけど。」
「放って置けよ。」
2人で黙って小川の対岸の紅葉を見ながら弁当を食べる。
「綺麗だな・・」
「そうだね。こんなに紅葉が見事だなんて。栗拾いに来て紅葉狩りもできちゃったね。」
「栗は”拾う”のに紅葉は”狩る”のは何でだ?」
静かな場所、他愛のない会話。そして英二の弁当を食べる。アッシュは幸せをかみ締めていた。その時ー。


「おお!そこにいるのはアッシュと英二じゃないか!」
静かで今まで良かった雰囲気が一度に壊される。ショーターとシンが藪の向こうからガサガサと出てきた。その顔はところどころ黒ずんで、服にはあちこちにコゲ跡がある。
「わ!弁当か!うまそーだ。俺たちの分もある?」
「あるよ。食べて。」
頭を抱えるアッシュの横で英二はにこやかに2人に弁当を手渡した。
「うめーな。英二!将来オレの店で働かないか?」
「いや・・それは・・どうだろう・・?」
「弁当を作ってくるなんて気がきくなぁ。」
「オレが作れって言ったのさ。」
「英二も大変だな。いつもわがまま男の相手をして。」
「お前・・今、昼飯にありつけてんのは誰のおかげだと思ってんだよ!」
「英二の?」
またアッシュとショーターの言い合いが始まった。
その横でシンが無言で弁当を食べていた。

一番大変なのはシンだと思う・・。

「何?」
シンはそんな英二の視線に気付いた。
「いや・・・。美味しい?」
「美味いぜ。アンタやっぱり料理上手いな。」
「君は料理するのかい?」
意外な質問だったのか、シンは少しキョトンとした。
そしてニヤリと笑って答える。
「するぜ?今度オレん家来る?アンタになら作ってやるぜ?」
「お前っ・・」
気づけばアッシュがシンの胸倉を掴んで引っ張っていた。
「ちょっ・・アッシュ?!何やってんの?」
「そうだ!俺様に勝てないからって俺の弟分に手をだすな!」
「引っ込んでろハゲ!!」
「ハゲてねーっつってんだろ!」

あーもーウルサイな。
英二はウンザリした。


だけど、こんなにぎやかな遠足は嫌いじゃない。と英二は思う。

また皆でどこかに行こうと言うとアッシュは嫌がるかなぁ。

大きな水筒から暖かいお茶をそそぎ皆に配りながら英二は考えた。

空を見上げると雲ひとつない青空だった。

来年はどこに行こうかな?

英二は一人で笑みを浮かべながら、来年の秋の空に思いを馳せたのだった。



(おしまい)




最後まで読んでくださってありがとうございました!
今までにない芸風(笑)で書いてみたこの作品。ど・・・どうでしたか?
いろんな意味で引かれたりしたらどうしましょ・・。
でも、ちょっとでも楽しんでいただけたら幸いです。
私の中でのショーターはこんな位置づけで、ひたすらテンションの高いムードメーカーです。
ショーターファンの方々すみません・・。
こういう何でもアリな話を考えたのは初めてで、意外に楽しいものなのだなぁ。と思いました。書きながら終始笑顔でアタシ変でした(苦笑)
常連様もはじめましての方も、そしてこの話をつくるきっかけをくださったらぶばな様もまことにありがとうございました!

原作でショーターとシンの絡みはありませんでしたが、きっとこんな感じでシンはボスに振り回されていたのではないかと思いました♪ まるで二人が兄弟のように見えて、とっても微笑ましいです(笑)

ショーターは「クラスで一番面白い子」「学級委員長」といったイメージかな。彼が生きていたら、チャイニーズとリンクスのゴタゴタもなかったのでは…と改めて思ってしまいました。

バーベキューセットの網の上で中華鍋って斬新な発想ですよね。いっそ蒸し器も持っていきますか?栗がはじけるシーンなんて大笑いですよ。はじけた栗がショーターの頭に突き刺さり、シンはお玉を卓球ラケットのように使って打ち返し、それがショーターのサングラスに命中…というのも面白いかもしれません。

これを気にギャグ小説のレパートリーを増やすのもどうでしょう(笑)

番外レシピ、楽しかったです♪ありがとうございました!

2012.10.14 14:05 URL | らぶばな #ozafj4PA [ 編集 ]

>らぶばな様

こんばんわ!早速のコメントありがとうございました!

>きっとこんな感じでシンはボスに振り回されていたのではないかと

今回、このショーターとシンは先輩と後輩風に書いてみました。
何を命令されてもショーターにはさからえないシン(笑)

>彼が生きていたら、チャイニーズとリンクスのゴタゴタもなかったのでは

そうですよね。本当にそう思います。
ショーターって要領のいい上司みたいな感じがします。難しい案件でも気負わずソツなく部下を使って、各部署と摩擦を起こさずやっていくみたいな。
要領よくチャイニーズの頭としてリンクスと付き合っていきそうだなぁ。

>はじけた栗がショーターの頭に突き刺さり、シンはお玉を卓球ラケットのように使って打ち返し、それがショーターのサングラスに命中…というのも面白いかもしれません。

面白いですね!(笑)
私に絵が描けたら一コマでその情景を描きたいと思いました。3頭身風で~。

>これを気にギャグ小説のレパートリーを増やすのもどうでしょう(笑)

また思いついたら書きたいですね。でもあんまり思いつかないかも。
今回はらぶばな様に話を振っていただいたので思いつきました。
いい経験させていただきました。本当にありがとうございました!

>番外レシピ、楽しかったです♪ありがとうございました!

こちらこそ本当にありがとうございました!

2012.10.14 23:37 URL | 小葉 #jneLG44g [ 編集 ]

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