「ああ。でかいやつだった・・・。」
深夜ベッドの上で勢い良く起き上がったアッシュは、胸を押さえて肩で息をしていた。隣で寝ていた英二も身を起こしてアッシュの肩に手を回す。その背中はびっしょりと汗で濡れていた。
英二がなぐさめるようにアッシュの背を何度もなでる。
少し息の整ったアッシュは英二に向かって言葉を発した。
「・・・お前が晩メシにあんなの出すからだ。」
今日、仕事が遅くなった英二は近くのデリカテッセンで惣菜を買ってきたのだ。その中のサラダの中に小さくダイス状にカットされたカボチャがたくさん混ざっていた。
器用にフォークでよけて食べてたくせに。
箸ならわかるがフォークであんな細かいカボチャを全てわけられるなんて職人技だ。
だが英二は思ったことを口にしなかった。
「ハイハイゴメンね。僕が悪かったよ。」
「そうだお前が悪いんだ。」
アッシュは拗ねたように英二の胸のパジャマを両手で掴んでそこに顔を埋める。
そんな彼の柔らかな金髪を胸に抱いたまま、英二は静かにベッドに横になった。
もちろんアッシュが見たのはカボチャの夢ではなかったろう。どれ程の夢が彼を苛ますのか、いつまでそれは続くのだろうか。
出会ったころからこんな夜が幾度もある。
あの頃、やはり飛び上がるようにして起きたアッシュは、英二を起こさないよう、呼吸を整え、ベッドをそっと抜け出し、窓際で一人耐えていた。
ーあの頃の僕はそんな君に知らないフリをしたけれど。
「僕をみてアッシュ。」
声をかけられアッシュは英二を見上げた。その両頬を英二はやさしく両手で包む。
怖いことなんか何もないよ。と英二はやわらかい声で話し掛ける。
「今度怖い夢をみたらオニイチャンが追い払ってやるよ。こう見えても強いんだぜ。夢の中では君よりね。」
「・・・オレより年上だしな。」
「きみより年上だしね。」
2人は額を寄せ合い笑い合う。
ー出会った頃は一人で悪夢と戦う君にどう声をかけていいかわからなかった。でも今は。
「ほらもう寝ろよ。お休みアッシュ。」
「・・・ああお休み。」
英二はアッシュの乱れた前髪を掻き分け、その額に小さくキスをした。アッシュの瞼がゆっくり降りてその綺麗な翡翠の瞳が隠されていく。
しばらくすると小さな寝息が英二の耳に届いた。
やれやれ。
英二は小さく息をつく。
あと何回こんな夜を過ごせば悪夢は彼を手放してくれるのだろうか。
腕の中の金髪の彼を起こさないよう話し掛ける。吐息かどうか区別がつかないくらいの小さな小さな声で。
”いつでもきみを助けてやるよ。夢の中でもそうでなくても。”
体勢を変えようと英二は少し身じろぎした。
英二の胸のパジャマを掴んでいるアッシュの片手をそっと離し、その手を握る。そして、自分のもう片方の手を彼の背に回し、彼を起こさないよう、やさしく引き寄せ抱きしめた。
自分の腕の中の彼を覗く。プラチナブロンドのやわらかい髪の毛から覗くやすらかな寝顔。
かすかな彼の寝息が英二の胸にかかる。
僕の手はきみより小さいけれど、きみが手をのばした時はいつだってー。
ーfin
”カボチャの夢”の言葉はブログ”カボチャの夢”を運営されているカボチャ様に許可を取って使用させていただきました。だからこの話、カボチャ様に捧げますv。
小葉さん、こんばんは!
糖度19%(*´∇`*)
素敵です(*´∇`*)
カボチャの悪夢ににやり( ̄ー ̄)
納豆は昨日かなぁ( ̄∇+ ̄)
英二にすがり付くアッシュが可愛い♪
そんなアッシュを大切に慰め抱き締める英二にLOVE♪
これから上がっていく糖度にめちゃ期待しています!
アッシュは、生きるために罪を犯し、大人から利用され苛まれ、散々な目に遇って…。罪の意識があるから、拭うことが出来ない事をさせられてきてるから悪夢を見てしまうんやろうなぁって考えてました。
英二の愛情と優しさに包まれて、やっと安心して眠れるようになったんですね~。
カボチャの夢さんは、小葉さんがお持ちのリンクから初めてお邪魔して、以来、激嵌まりしてます…。無礼なことにご挨拶も何もしていないのでこの機にきちんと訪れます。
梅雨の時季、どうぞご自愛くださいね(^-^)
2013.06.19 22:11 URL | 敬ママ #- [ 編集 ]
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2013.06.20 12:34 | # [ 編集 ]
☆☆☆☆☆☆゚.+:。ヾ(o・ω・)ノ゚.+:。☆☆☆☆☆☆
小葉さ~ん!!「☆素敵☆素敵☆素敵☆」
何度言ってもいい足りないくらいです~!!
が、
南瓜の夢なんて気になさらずに、バンバン使ってください~!!!
こんな「素晴らしい☆萌え」を私がいただいたら、
小葉さんファンの方々に槍で刺されてしまいそうです((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタ
「悪夢は彼を手放してくれるのだろうか」
この言い回しが、堪らなくスキです~。
小葉さんの「お人柄」が滲み出ているように思います~。
英二君の「寛大さ」とか「懐の深さ」が胸に迫ってきます(ノω<;)
創作に煮詰まってしまったら、ここへお邪魔させていただいて、
何度も読み返してしまうだろうな~と「断言」してしまうほど(笑)
本当に素敵な優しいお話しですね~!!
ココロが温かくなりましたよ~!!!
素敵なお話しをありがとうございます~(m;_ _)mペコ
2013.06.21 15:16 URL | カボチャです~。 #- [ 編集 ]
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2013.06.22 00:14 | # [ 編集 ]
★>敬ママ様
こんばんわ!
読んでくださってありがとうございます~~。
「素敵です(*´∇`*) 」
そうコメくださる敬ママさんが素敵です~(*´∇`*)
「英二にすがり付くアッシュが可愛い♪ 」
そうなんですよねー。私、可愛いアッシュが好きみたいで。
オニィチャンに甘えたり、ワガママ言ってるアッシュに超萌えるんですよ。超ですよ超!(←しつこい)
王道のAと英を扱ってるブログなのに、好きなもの書かせたら王道からはずれてニントモカントモだと思ってます。
かっこいいアッシュが書けない。
だから敬ママさんにそうコメントいただけるとうれしい・・・。
「これから上がっていく糖度にめちゃ期待」
嗚呼・・。実はですね。あんまりあがらなかったかも(汗)
もう最後まで書いちゃったんですけど。
そんなに甘くないなこりゃ。と今頭を抱えております。
あくまでも当社比ですよ!当社比!!
シリーズ名変えちゃおうかなぁ・・。
それでもよろしければ次のも読んでやってくださいね~。
うれしいコメントありがとうございました!
2013.06.22 11:39 URL | 小葉 #jneLG44g [ 編集 ]
★>ちょこぱんだ様
わーちょこぱんださん。コメントありがとうございますー。^^
「読みながら顔がニヤけて」
マジで?!そうコメ頂けるとうれしいなぁ。
やっぱりこういうのってあんまりダメなのかなぁと思ってましたのでだって
「英×Aですねっ!!」
ですよねぇ。やっぱりそう見えますよねぇ。実はこの話、私あんまり意識せず書いたんですけど読み直してみると、もしかして英×A・・?と。
私自身はA英だろうが英Aだろうが楽しめるんでいいんですが。バナナ界の多数はなんか違うらしいじゃないですか?
はー甘い甘い書いてるわりにはかなり外したモノを書いちゃったのか。と思っていたんですが、英二スキーのちょこぱんだ様に喜んでいただけて確信しました。やっぱりこの話。英×Aなんだ(笑)。だよねぇ・・。
でもねぇ。こう言う2人もアリだと思うんですよねぇ。アッシュはオニィチャンに甘えたいと思うんですよねぇ。グリフィンの幻影を英二に見てると思うんですよね!英二に甘えるアッシュが私の萌えなんですよね。それを甘やかす英二。でもアッシュがかわいいわけなくて、英二もめっちゃカッコつけれるタイプではないので、
「素直じゃないクセに、やっぱり甘えてしまうアッシュと、冗談のように言いながらも包みこんでしまう英ちゃん」
やっぱりちょこぱんださんはうまい事まとめますね(笑)ありがとうございます o(≧▽≦)o
そうなんですよねー。そういうのが大好きなんですよ。2人とも本心を言わないけど、通じ合う会話。とか。わー相変わらずわかりにくい萌え。
ところでちょこぱんださんも悪い夢をみられるんですか?(´・_・`)
英二は無理だけどじゃぁ私が代わりに・・
え?嫌って?まぁまぁそう言わずに。(笑)
それでは。うれしいコメントありがとうございましたー(^_^)
2013.06.22 11:41 URL | 小葉 #jneLG44g [ 編集 ]
★>カボチャ様
いらっしゃいませ~。その節は使用許可を快く承諾してくださってありがとうございました!(o^^o)
カボチャさんがいなければ思いつかなかったこの案。
だからカボチャさんにえいっって捧げちゃいました。^^
「☆素敵☆素敵☆素敵☆」
まぁ・・。そんなに素敵ってコメくださるカボチャさんが♪素敵♪素敵♪素敵♪
気に入っていただけたようでよかったー。ほんとよかった。(=´∀`)人(´∀`=)
”英二に甘えるアッシュの図”ってどうなんだろうと思って。
嫌いな人もいるのかなぁ。と思って、トップページで1週間くらい前からガッチリガード(笑)ですよ。(。-_-。)
王道のA×英を書かれているカボチャさんに気に入っていただけてよかった。
「小葉さんの「お人柄」」
わー誤解されてますよー。私、ちっちぇヤツですよー(苦笑)(; ̄O ̄)
「英二君の「寛大さ」とか「懐の深さ」が胸に」
そうなんですよね。英二は守られてるばかりではない。と私は思っていて。
逆にアッシュは強いばかりではない。と思っていて。
それを追求すると困った事にバナナ界では鬼門だ、人気がないんだ、と言われている英×Aもどきになっちゃうんだなぁ。これが。
もっと書いていいですか?英二がアッシュを甘やかす英×Aもどき(笑)
はぁ。つっこみどころのないA×英書いてみたい。でも・・・多分むりだな。
「何度も読み返してしまうだろうな」
マ・・マジで?適当に書いちゃった文章直しておくか・・・(笑)
でもうれしいです。でもでもそんな。そんなにいいものじゃないですよぉ。><
もー名前負けしているこのシリーズ。また創作の合間に遊びにきてやってください!でわ~。
2013.06.22 11:50 URL | 小葉 #jneLG44g [ 編集 ]
★>文月絵魚様
わー。文月さん。コメントありがとうございます!^^
「二人の距離の近さ」
ですよねー。一線を越えた近さ。(←超えてんのかい。)
超える前と超えた後じゃ色々関係も違ってくるかなぁ。
「英二」「パジャマ」「胸」
え??・・・・・・・・・・・・・。ああ!(とポンと手を打つ)
「あの胸に…アッシュ、顔うずめちゃってる」
ああ!そうか!あの胸!(爆笑)
そうそう。やっぱり文月さんおもしろいですね。
そういえば、そうだ。あの胸だ。
そっかー。あの胸かー(笑)谷間谷間w。
「ピュアですいません(‐з‐)」
ホンマにね(笑)
それでは。たのしいコメントありがとうございました!
2013.06.22 11:52 URL | 小葉 #jneLG44g [ 編集 ]
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2013.06.24 22:25 | # [ 編集 ]
★>咲子様
わ~。咲子さーん。コメントありがとうございます!超ウレシイ。
「もっと甘く感じました」
ああ。そうなんですよねー。
もしかしてこれが一番甘いかも。とか自分でも思ってます。えへ。
糖度糖度と書いてますけど、どのくらいがどうとかもう6作も書いたらよくわかんなくてですね。
5作目を102%としてますけど、一番甘いということではなさそうだなぁ。んー。とか読み返しておもったり・・。
「なにげに一緒のベッドで」
(笑)なにげにツッコんできましたね(笑)
そうそう。もう2人はとっくに恋人同士設定ですから、同じベッドです。当然ですよ!当然!!(←力説するな)
ああ・・大きいか小さいかは私も考えました。もうそれでいろんな話ができるわけですよ。
大きかったら・・、いつからだよ。おい。とか。買いにいくときは2人で選んだのかよ。どういう状況でそんな話になったんだよ。とか。
小さかったら・・、どっちのベッドで寝てんだよ。ちくしょー。とか。アッシュが英二のベッドで?英二がアッシュのベッドで?とか。
ああ。夢が膨らむ。
「眼福眼福。」
咲子さん。おもしろいですね(笑)
それでは。お時間のあるときに他のお話も楽しんでくださったらうれしいです♪でわ~。
2013.06.24 22:47 URL | 小葉 #jneLG44g [ 編集 ]
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2013.07.23 21:12 | # [ 編集 ]
★>aia様
「ジックリ堪能出来る日を楽しみに遊びにきました」
わ~!aiaさんこんばんわ!
なんともうれしい書き出しありがとうございます!(感涙)
つーか。aiaさん本気で山場を越えられたんですね。いいないいなぁ・・。
「私の理想とする「カッコイイ」=「強くてやさしい」英二がいる」
ありがとーーーーー!ございます。
カッコイイ英二推進委員会委員長のaiaさんにそうコメいただけるとうれしいなぁ。
委員会の証。ハイタッチをひさしぶりにやりますよー。
は~い。ターーーーーッチ!(←なんか違う)
「アッシュとは違った強さを持つ英二」
ですよねー。アッシュが”剛”なら英二は”柔”ですよ。
オニィチャンも守られているばかりではありません。だってオトコノコなんだもーん。
aiaさんとは英二の趣味が合うんだよなぁ(しみじみ)
多分一番合うんだよなぁ。
「このふたりの会話。 「あるある~きっとある~」って思いましたvv 」
”あるある”判定ありがとうございます!w(嬉)
わたしも今回はそこかなと思います(←自分でイウナー)
「19%から、このホックホクドッキドキ感」
この話・・・・アップした時は、ある意味これが一番精神的に糖度が高いんじゃないかなー。と思いました。順番間違ったカモーって。
だから次から上げるのが怖かったです(苦笑)
「そして、つづきます(^_^)/~」
つ・・つづくって。とびっくりしました。
では私の返コメも続くということで。
とりあえず。嬉しいコメントありがとうございました~♪
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