Banana Recipes

アッシュが夜更けに帰ってくると、部屋のあかりが煌煌とついていた。

期待を裏切らないヤツ・・・。

アッシュはソファーで眠っている英二を見てため息をついた。
テーブルにはカメラとレンズとそれら専用のクリーニングクロスが散らばっている。ソファーで横になっている英二の腹の上には、写真の専門雑誌が伏せられて置かれていた。本日の夜更かしのお供は、カメラの手入れだったようだ。

気持ちよさそうに眠っている英二をしばらく見ていたアッシュは、スタスタとソファーに近寄り、英二が眠りながらも手に持っている雑誌を手に取って、それで頭を軽く殴った。
「起きろ。」
「痛・・・。あれ？アッシュ帰ったの？」
「起きろ。風邪引くぞ。」
アッシュはまだ寝ぼけている英二の顔に雑誌を投げた。
「っちょ！アッシュ？起こすのに殴ったり投げたりすることないだろ？！」
英二は目が覚めたようだ。

寝覚めがいいやつだな。

「その言葉。誰かさんに聞かせてやりたいね。」
アッシュは朝英二に殴られて目覚めることが多い。
「それは君が起きないからだ。僕は声をかけられただけで起きられる。」
「年寄りは眠りが浅いからな。」
「２つだけだろ！」
「はいはいおじーちゃん。ベッドに行こうね。」
「誰がおじいちゃんだ！」
そうして２人は寝室に入って行った。

次の日の朝。アッシュは頭をいつもより力いっぱい殴られて起こされたのだった。


おしまい。