2ntブログ

Banana Recipes

漫画 BANANA FISH の2次創作ブログです。 BANANA FISH 好きの皆様と仲良くしていただければ嬉しいです♪一部BL・R18あります。ご注意を。

34 好きって気持ちが蓄積されてく
65 本当はそんなコト言いたいんじゃない
66 告白って緊張する
67 なんか調子狂う
69 言葉にできない気持ちってあるよな
70 気持ちが溢れて言葉になる
96 喧嘩してる場合じゃないんだ。


(S+暁 恋人になる前です。)


「シンのバカ!もう顔も見たくないんだから!」
バタン!
と大きな音を立ててドアを閉めた。
暁のために与えられたゲストルームのベッドに飛び乗り枕に顔を埋める。
ここはNYにある英二の家だった。
バイトをしてお金を貯めてここに来た。英語だって英会話教室に通って勉強した。まだ全然聞き取れないけど・・。

「シンのバカ・・・」

本当はそんなコト言いたいんじゃないのに。どうして自分は憎まれ口を叩いてしまうんだろう。

その時ドアをノックする音がした。
「あーちゃん?入るよ?」
「・・・はい・・・」
消え入りそうな声で暁は返事をする。さきほど暁がシンに怒鳴った時には、英二はキッチンに一人でいたはずだ。暁の剣幕におどろいて料理を中断して来てくれたのだろう。英二はベッドまできてその端に腰を降ろした。
「どうしたんだい?」
シンにああいう風に言うなんて。と英二が暁に静かに尋ねる。
「だって・・」
暁は言い淀む。

ーシンのワイシャツから女の人の香水の香りがしたような気がしたから。なんて奥村さんに言えない。だって私の勘違いかもしれないし、だって私はシンにとってはただのシンの親友の知り合いのそのまた姪なんだし、だってシンはその気もないのに『俺のヨメになるか?』なんて冗談言うし、だって私、バイトまでしてここに来たのに、だって私、英会話まで習ったのに。
だって・・だってー
「シンといるとなんか調子狂うの。オヤジギャグとかわけわかんない」
オヤジ・・・と英二はつぶやいた。
「シンはあーちゃんのことが可愛くてしかたないんだよ。だからちょっかいを出さずにいられないのさ」
許してやってくれよ。と英二が笑って言った。

許す?許すことなんて何もない。違う。

本当は私が素直になれないだけ。どうしてここにまた来たのか。どうして英語を覚えようとしたのか。どうしてシンに会いたいと思うのか。
それをシンに伝えたいと思っているのに。

「違うんです・・うまいこと伝わらなくて」
枕から顔を上げない暁の頭に、英二の手が優しく置かれた。
「言葉にできない気持ちってあるよなぁ。伝わらないと思うときは無理をせずに、いつか気持ちが溢れて言葉になるのを待ってもいいんじゃないのかな?」
でもね、と英二は続けた。
「タイミングは逃すと一生言えないこともあるよ。気をつけて」
暁はやっと枕から顔を上げて英二を見た。
「・・・一生?」
「一生だ」
英二はやるせなさそうに笑っていた。
暁は英二のこの笑顔の理由を知っている。
初めてNYに来た時に英二の写真展覧会の会場の一番奥に飾られていた美しい人の映像が頭の中に蘇る。
・・・一生。
英二は暁の髪をクシャリとかき混ぜ、ベッドから立ち上がった。
「晩御飯がもう直ぐできるけど、大丈夫だったら食べにおいで」
「はい」
暁は素直に返事をした。英二がそのまま部屋を出て行った。

初めてNYに来て、そしてその後日本に帰ってから、シンは国際電話を何度かくれた。商談で日本に来たからと、会ってくれたこともあった。
どういうつもりなんだろうと友達に聞いた。普通一度会っただけの、親友の、そのまた知り合いの、そのまたその姪にそこまでしないだろうといわれた。そしてあんたはどうなの、と聞かれたのだ。

ー私?私は・・・・。

認めたくないけれど、シンの声を聞くたび、顔を見るたび、好きって気持ちが蓄積されてく。

だからここへまた来たのだ。お金をためて。

・・・ 喧嘩してる場合じゃないんだ。

そしてまた扉が控え目にノックされた。

「暁?入ってもいいか?」

シンだ。

「いいよ」

暁は決心した。

だからここまで来たのだ。英会話も習った。英語で話かけてもいつの間にかシンは日本語で話してくれてるけど…。

「暁・・あのな」
「シン」

暁はシンの言葉をさえぎった。シンが黙った。次の言葉を発するために暁が口を開く。胸の鼓動がどんどん高鳴っていく。

「あのね。私」


ー告白って緊張する。


この2人はふつうに少女漫画的な展開で恋人になって結婚していて欲しい。


このページにあと4話くらい追加していこうと思います。多分…。2020/9/19

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